ホーム /読みもの /定員は増えても、風呂は増えない|大人数の一棟貸しと浴室の数
定員は増えても、風呂は増えない|大人数の一棟貸しと浴室の数
ホテルは、部屋の数だけ風呂がある。3部屋取れば風呂は3つで、誰も順番を待たない。一棟貸しはそうではない。借りるのは家なので、風呂は家の数だけ、つまり基本はひとつだ。定員は4名から18名まで増えるのに、風呂は増えない。大人数で一棟を借りたときにいちばん最初に詰まるのは、たいていここだ。
数えてみると、1浴室あたり6.0人
泊まり火に掲載している672軒のうち、浴室の数を公式サイトで確認できたのは50軒しかない。全体の7.4%だ。定員も分かる49軒で「定員÷浴室数」を出すと、中央値は1浴室あたり6.0人だった。
内訳を見ると、偏りがはっきりしている。
- 定員8名以上の27軒のうち、16軒は浴室が1つ。
- 定員10名以上の15軒でも、8軒は浴室が1つ。
- いちばん多いところで、浴室1つに対して定員21名。
つまり「大きい宿ほど風呂も多い」わけではない。寝室は人数に合わせて増えるが、風呂は家の設計に従うからだ。予約画面には定員しか出てこないので、この差は泊まってみるまで見えない。
日本の風呂は、一度にひとりしか使えない
もうひとつ、日本の家の風呂には固有の事情がある。洗い場と湯船がひと部屋になっているので、同時にひとりしか使えない。ホテルのユニットバスと数の意味が違う。「浴室2つ」は、体感では2倍以上効く。
髪を洗う人がいれば20分、湯に浸かる人がいればもっとかかる。8人が順に入れば、最後の人が上がるのは日付が変わったあとになる。翌朝も同じことが起きて、チェックアウトが11時なら、朝シャワーを浴びられるのは半分くらいだ。
寝室の数だけ風呂がある: TAIGA Niseko ― SESHU(雪舟)

北海道倶知安町ローワーヒラフ、ニセコの一棟貸しシャレー。5寝室に対して浴室5、定員12名で、全寝室に専用バスルームが付く。1浴室あたり2.4人という、掲載データのなかでいちばん余裕のある構成だ。吹き抜けの天井にアッシュウッドの梁、オープンキッチン、屋外ジャグジーとガス暖炉を備える。
この形なら、誰も順番を気にしない。ホテルの部屋を並べて取ったときと同じ自由さが、一棟貸しのまま手に入る。
24名に浴室3つ: ヴィラ・セゾン・フジ

山梨県富士河口湖町、母屋と別棟からなる最大24名・寝室6・バスルーム3の一棟貸し。プライベートプール(4〜10月は加温)、サウナ、ジャグジー、BBQ、暖炉を備え、愛犬も一緒に泊まれる。河口湖駅から約10分で送迎車があり、東京都心から約90分。料金は338,000円〜/泊。
24名に3つなら1浴室あたり8名。数字だけ見ると多いが、大人数の宿としては上位に入る。同じ規模でひとつしかない宿があることを思えば、この差は予約時に効いてくる。
浴室2つの設計: 東方旅泊 RESORT 石垣島川平

沖縄県石垣市川平、定員16名の4LDK。独立したバスルームとシャワールームで浴室は2つある。オーシャンビューのプールと檜サウナ(3名)、BBQ、IHのフルキッチンを備え、新石垣空港から車で約26分。料金は50,000円〜(4名ベース)。
同じ考え方の宿に、鹿児島県奄美市のPrivate villa su-ime(スイム)奄美大島がある。1日1組限定・最大15名で、2階の風呂と1階のシャワールームを分けている。年中泳げる温水プライベートプールとサウナ付き。上下階で分けるのは、大人数の家でいちばん現実的な解き方だ。
「浴室ひとつ」でも回る宿の条件
浴室が1つだから駄目、という話ではない。詰まらないための逃げ道が用意されている宿がある。
シャワーを別に持つ。 鳥取県のフォレストハウスだいせんは、最大21名に対して浴室は1室だが、シャワーは3室ある。大山隠岐国立公園内・標高800mの1棟貸切コテージで、10名まで70,000円〜。湯船に浸かるのは順番でも、体を洗うだけなら3人同時に済む。
湯船を持たない。 長野県のCOCO VILLA 白馬 02は、バスタブを置かずにシャワー室を2つにした3LDK(定員11名・推奨6名)。スキーや山歩きのあとに使う宿なら、この割り切りは合理的だ。
外の湯に逃がす。 神奈川県のMOROISOSO(モロイソソウ)三浦は、4LDK・220㎡で最大18名、バスルームは1階に1つだが、温水のプール型露天風呂とサウナが別にある。神奈川県のMONS GORA(モンス強羅)は各棟に大涌谷源泉かけ流しの檜半露天風呂と薪ストーブ、SOLIS棟にはサウナ。群馬県の草津温泉付き貸別荘 永田屋 昭和館は「わたの湯」源泉かけ流しの内湯を客室に持ち、本館は車で約7分の距離にある。
温泉地の一棟貸しが大人数に強いのは、風呂の総量が家の外にもあるからだ。近くに日帰り温泉があるかどうかは、間取り以上に効く条件になる。
予約前に聞く3つ
浴室数は公式サイトに書かれていないことのほうが多い。書いていない宿を候補から外す必要はなくて、聞けばいい。問い合わせるのは次の3つで足りる。
- 浴室はいくつありますか。 湯船とシャワーを分けて数えてもらう。
- 同時に何人が使えますか。 洗い場付きか、シャワーブースが独立しているかで答えが変わる。
- お湯は続きますか。 給湯能力の話で、連続で入ると途中でぬるくなる家もある。大人数ならこれがいちばん現実的な質問になる。
風呂の数は、写真では絶対に分からない。けれど滞在の満足度には、プールやサウナより静かに効いてくる。人数が多い旅ほど、定員のとなりにこの数字を並べて見てほしい。
よくある質問
- 一棟貸しの浴室はいくつありますか?
- 宿によります。泊まり火が公式サイトで浴室数を確認できた50軒では、1浴室あたりの人数は中央値で6.0人でした。定員8名以上の27軒のうち16軒は浴室が1つ、定員10名以上の15軒でも8軒が浴室1つです。
- 大人数で泊まるとき、風呂はどう回せばいいですか?
- 湯船の数だけでなく、シャワー室・サウナ・近隣の温泉を足して人数で割ります。フォレストハウスだいせんは浴室1室に対しシャワー3室、COCO VILLA 白馬02はバスタブを持たずシャワー室2つ。「湯船の数」と「洗える場所の数」は別に数えてください。
- 浴室の数はどこで確認できますか?
- 公式サイトの間取り・客室設備ページです。ただし記載のない宿が多く、泊まり火の掲載672軒のうち浴室数を確認できたのは50軒(7.4%)でした。書かれていない場合は予約前に問い合わせるのが確実です。
