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「何も予定がない」を予約する|セルフリトリート入門
「リトリート」と聞くと、ヨガの先生がいて、プログラムがあって、朝6時に起こされるものを想像するかもしれない。けれど本来のretreatは「退却」という意味だ。日常から一時的に退くこと。それなら先生もプログラムもいらない。必要なのは、誰にも会わない場所と、白紙の予定表だけでいい。
セルフリトリートのコツは、「何もしない」を頑張らないことだ。スマホを金庫に入れて瞑想を試みるより、区切りになる小さな行為を宿に任せるほうがうまくいく。湯に浸かる。サウナで汗をかく。森を歩く。夕日を待つ。どれも「予定」と呼ぶには小さすぎるが、この小ささがいい。白紙の一日は、小さな句読点があって初めて読める文章になる。
宿選びの条件はひとつ、他人の気配がないこと。1日1組の貸切なら、ロビーの挨拶も、朝食会場の時間も、退却の邪魔をしない。
電線の切れた先にある静けさ: WEAZER(ウェザー)西伊豆 廻

西伊豆・戸田の自然に抱かれた1日1組限定の一棟貸し。電力も水も自然エネルギーで自給する完全オフグリッドの宿で、サウナと半露天風呂で深いリトリートを過ごせる。インフラごと日常から切り離された場所というのは、想像以上に効く。「退却」の徹底ぶりでは、国内屈指の一軒だと思う。
森に抱かれてととのう: Sauna Forest Cabin 御代田

御代田の森に佇む1日2組限定のサウナ付きキャビン。檜の香るフィンランド式サウナとジャグジー、ウッドデッキの外気浴で、森に抱かれてととのえる。サウナの熱と森の冷気を往復するうち、頭の中の予定表が白くなっていく。軽井沢の隣町でありながら、この静けさ。避暑を兼ねた夏のリトリートにもいい。
夕日を待つだけの夕方: private villa YUHIMI(夕日見の丘)安芸

高知・安芸の丘に建つ1日1組限定の2棟のプライベートヴィラ。天然温泉に浸かり、土佐和牛や四万十豚のBBQを味わいながら、土佐湾に沈む夕日を望んで過ごせる。宿の名前がそのまま過ごし方になっている。夕日を「見に行く」のではなく、湯の中で「待つ」。予定のない一日の締めくくりとして、これ以上のものはない。
白紙の予定表は、埋まらないから価値がある
帰ってきたセルフリトリートの話は、たいてい要約すると「何もしなかった」になる。それでいい。埋まった予定表は思い出せるが、白紙の一日は身体が覚えている。次の休みは、行き先より先に「何もしない」を予約してみてほしい。