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コテージは5軒、貸別荘は6軒|宿が名乗らない言葉

· 泊まり火編集部

熊本の天草に、貸別荘 ヴィガン・オーシャンヴィラという宿がある。

名前のなかで、貸別荘とヴィラが並んでいる。どちらか一方に決めなくてよかったのか、と一瞬思う。

掲載している654軒の名前を並べて数えてみると、この宿はかなり変わっている。貸別荘を名乗る宿は、全部で6軒しかないからだ。

開け放たれた日本家屋の玄関。誰もいない土間と上がり框
Photo: J.M_photography #01 / Public domain (Wikimedia Commons)

名乗られている言葉は、2つしかない

654軒の施設名に、どの言葉が入っているかを数えた。

名前に入っている語 軒数 内訳
ヴィラ・VILLA 168軒 ヴィラ159・グランピング9
グランピング・GLAMPING 127軒 ヴィラ8・グランピング119
貸別荘・別荘 6軒 ヴィラ6
コテージ・COTTAGE 5軒 ヴィラ4・グランピング1
一棟貸し 3軒 ヴィラ3
ロッジ・バンガロー 0軒

上の2つと、下の3つで桁が違う。ヴィラとグランピングは168軒と127軒が名乗り、コテージと貸別荘は5軒と6軒しかいない。ロッジとバンガローに至っては、654軒の名前のどこにも出てこない。

宿を探す側の頭のなかでは、この6つはだいたい横並びの選択肢になっている。「コテージ 千葉」と「貸別荘 千葉」は、別のものを探している気がする。けれど宿の側では、横並びになっていない。

説明には使う。名前にはしない

同じ言葉を、今度は紹介文と本文のなかで数えた。名前ではなく、文章のなかで使われているかどうかだ。

語 名前に入れている 本文で使っている 倍率
ヴィラ 168軒 281軒 1.7倍
グランピング 127軒 317軒 2.5倍
コテージ 5軒 63軒 12.6倍
貸別荘・別荘 6軒 76軒 12.7倍
一棟貸し 3軒 155軒 51.7倍

ヴィラとグランピングは、名乗る数と説明に使う数が近い。名前にしている宿がそのまま、文章でも同じ言葉を使っている。

コテージと貸別荘は12倍以上に開く。説明するときには出てくるのに、名前にはしない。一棟貸しは51.7倍で、名前に入れているのは3軒だけだ。

名乗る言葉と、説明する言葉は、別の引き出しに入っている。

なぜ名前にならないのか

開いた3語を、種別ごとに分けるとはっきりする。

本文でコテージに触れている63軒のうち、48軒がグランピングだった。テントやドームと並ぶ客室タイプのひとつとして、「コテージ棟」「コテージタイプ」という形で出てくる。施設そのものの呼び名ではなく、敷地のなかの建物の型を指している。名前にならないのは当然で、施設の名前と建物の型は別の階層にある。

本文で別荘に触れている76軒は、逆に62軒がヴィラ側だった。こちらは建物の出自を説明するときに出てくる。もともと別荘だった家を貸している、という来歴の話だ。来歴は名前にしにくい。

一棟貸しはもっとはっきりしていて、建物の種類ではなく貸し方を指す言葉だ。ヴィラも古民家も町家も、貸し方としては一棟貸しになる。貸し方は名前にならない。

番号のついたコテージが道沿いに並ぶ
Photo: Masikyo / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

半分以上は、何も名乗らない

ここまで数えた語のどれも名前に入れていない宿が、654軒のうち359軒ある。55%だ。

種別で分けると、ヴィラ側は321軒中148軒(46%)、グランピング側は333軒中211軒(63%)。グランピングのほうが、名前でカテゴリを言わない。

残るのは固有名だけになる。山形のR;MOGAMI、福岡のCODE ROOMS ITOSHIMA、洞爺湖のThe Lobs。どれも名前からは、テントなのか一軒家なのか分からない。

いちばん短い名前は3文字の「森の宿」で、いちばん長いのは48文字の「amarancia cottage hugging nature house(淡路島・南あわじ)」だった。654軒の中央値は16文字になる。

名前の作りは、種別で違う

名乗る語では分かれなかったが、名前そのものの作りは種別ではっきり分かれる。

使っている文字で分けると、ヴィラは日本語と英字の混在が198軒(61%)で最も多い。「Seaside KLATCH(シーサイドクラッチ)」のように、英字の名前に読みを添える形だ。グランピングは日本語だけの名前が151軒(45%)で最も多い。

名前の長さも違う。中央値はヴィラが19文字、グランピングが13文字だった。

地名を名前に入れているのは654軒中134軒(20%)で、ヴィラが86軒(27%)、グランピングが48軒(14%)。ヴィラのほうが、名前に場所を書く。

英単語で最も多く使われているのはTHEで、41軒の名前に入っていた。次がRESORTの32軒、HOUSEの17軒と続く。

名乗りと中身がずれる17軒

泊まり火はテント・ドーム系をグランピング、戸建てを貸し切る宿をヴィラとして分けている。この分類と、宿自身の名乗りがずれる宿が17軒ある。

グランピングに分類しているのに名前にヴィラが入っているのが9軒。日本海夕日ヴィラ One Storyやセトウチハマヤヴィラがそうだ。

逆に、ヴィラに分類しているのに名前がグランピングなのが8軒。THE BASE GLAMPING ATAMI PREMIERやサウナ&グランピング ととのいがある。

どちらが正しいという話ではない。建物はヴィラでも、滞在の仕組みがグランピング寄りなら、名前はグランピングになる。逆もある。名前は建物を指しているとは限らない。

この数字について

泊まり火に掲載している654軒(ヴィラ321軒・グランピング333軒)の施設名と、紹介文・本文を機械的に数えた。「ヴィラ」はVILLAGEを含まないよう語として判定し、ヴィラ・ヴィッラ・Villaの表記ゆれをまとめている。

名前は施設が公式サイトで名乗っている表記をそのまま使っている。本文は編集部が公式情報をもとに書いたものなので、「本文で使っている」は宿自身の言葉ではなく、この宿を説明するときにその語が必要になったという意味になる。

文字種は、英字を含むかどうかと仮名漢字を含むかどうかで3つに分けた。地名の判定は、住所に含まれる市町村名と県名が名前に現れるかで見ている。

名前では、絞れない

コテージと貸別荘とヴィラは、言葉としては違う意味を持っている。ヴィラ・グランピング・コテージ・貸別荘の違いで整理したとおりだ。

ただし、その違いは宿の名前には出てこない。コテージで絞れば5軒、貸別荘で絞れば6軒しか残らない。どちらも、探している宿はそこにはいない。

宿名に心当たりがあるときは検索から名前で。そうでなければ、人数と行き先と設備で絞るほうが早い。条件から探すは種別をまたいで絞り込める。

名前は、その宿が自分をどう見せたいかを言っている。どんな宿かは、条件のほうが答える。

よくある質問

コテージと貸別荘は、ヴィラと何が違うのですか?
名前の上では、ほとんど使い分けられていません。掲載654軒のうちコテージを名乗るのは5軒、貸別荘は6軒で、ヴィラの168軒とは桁が違います。探すときにどれを入力しても、出てくる宿はかなりの部分で重なります。
では、コテージという言葉はどこで使われていますか?
紹介文のなかです。本文でコテージに触れている宿は63軒あり、そのうち48軒がグランピングでした。テントやドームと並ぶ客室タイプのひとつとして使われていて、施設そのものの名前にはなっていません。
貸別荘という言い方は古いのですか?
古いというより、使われる場所が違います。本文で別荘に触れる76軒のうち62軒がヴィラ側で、建物の出自を説明するときに出てきます。名前に入れているのは6軒だけで、うち2軒はヴィラという語も同じ名前に入れています。
宿の名前から、どんな宿か分かりますか?
半分以上は分かりません。654軒のうち359軒(55%)は名前にカテゴリ語を入れておらず、固有名だけです。グランピング側ではこの割合が63%に上がります。名前は種別を伝える場所として使われていません。
名前で探すのと、条件で探すのはどちらがよいですか?
心当たりの宿名があるときは名前で、そうでなければ条件で探すほうが早いです。カテゴリ語は宿の側にほとんど無いため、コテージや貸別荘で絞っても網から漏れます。人数・エリア・設備で絞ったほうが実際の選択肢に近づきます。

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