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プライベートサウナの夜 誰にも気兼ねしない、ととのいの時間
サウナが好きになるほど、大浴場のそれでは物足りなくなる瞬間がある。ロウリュをしたいけれど、隣に知らない誰かがいる。外気浴の椅子は埋まっていて、時計ばかり見てしまう。声をひそめ、視線に気を配り、いちばん無防備でいたい時間に、どこか気を張っている。
貸切ヴィラのプライベートサウナは、その遠慮をぜんぶ玄関に置いてこられる場所だ。今夜、熱も、蒸気も、静けさも、すべて自分たちのものになる。
十九時、ストーンに水を落とす
チェックインを済ませ、荷物をほどいたら、夕食より先にサウナを温めはじめる。室温が上がるのを待つあいだに着替えて、飲み物を冷やして、外気浴の椅子の向きを直す。この「支度の時間」さえ、貸切なら愉しみのうちだ。
頃合いを見て、ラドル一杯の水をストーンに落とす。じゅっ、という音とともに蒸気が立ちのぼり、少し遅れて、熱が肩から背中へ降りてくる。会話はいらない。聞こえるのはストーブの音と、自分の呼吸だけ。好きなタイミングで、好きなだけロウリュができる。それだけのことが、こんなに贅沢だったのかと思う。
物足りなければ、もう一杯。汗の出方を見ながら、自分たちの適温を探っていけばいい。誰かの「熱すぎる」も「ぬるい」も、ここでは気にしなくていいのだ。
汗が十分に流れたら、水風呂で息を整え、椅子に身体を預ける。夜風が熱を少しずつ運び去っていく。目を閉じれば、遠くにかすかな夜の気配。目を開ければ、頭上に星。誰の視線もない「ととのい」が、ここにはある。
二セット目からは、身体が要領を覚えはじめる。熱への浸り方、水風呂での息の吐き方、外気浴で力を抜いていく順番。三セット目が終わる頃には時間の感覚がゆるやかに溶けて、夜がいつもより長くなったような気さえしてくる。
波音の気配とととのう宿: THE SECOND Kujukuri Beach House

九十九里の海まで、歩いて3分。4LDKの一棟貸しビーチハウスのウッドデッキには、フィンランドサウナと水風呂が据えられ、そのまま外気浴までできる。昼は浜辺まで散歩して、夜はデッキで熱と冷たさを行き来する。海辺の空気の中で繰り返すサウナは、街のそれとはまるで別ものだ。
BBQのガスグリルなどは無料レンタルで、定員は6名。愛犬も一緒に泊まれる。「第2の家」という名前の通り、気負いのない海辺のサウナ滞在が叶う一軒だ。
星空の下の外気浴が待つ宿: amarancia cottage hugging nature house(淡路島・南あわじ)

淡路島最南端・阿万の自然のなかに、全5棟のコテージが点在する。ここのサウナは「木々の音を聴くサウナ」。たっぷり汗を流したら、星空を見上げる露天スパへ。夜が深まったら、焚火を囲んで火のゆらぎを眺める。熱、水、星、火。ととのいの夜に欲しいものが、ひと通りそろっている。
1棟ごとに完結した造りだから、隣の気配を気にせず没頭できるのもいい。定員3名という小ぶりなサイズは、ふたりで過ごす記念日の夜にこそ似合う。
森の静けさに沈む宿: SAUNA FOREST CABIN 軽井沢 御代田

軽井沢ICから車で約28分。御代田の森に佇む、1日2組限定のサウナ付きキャビンだ。檜の香るフィンランド式サウナはセルフロウリュ式で、最大7名が同時に入れる広さがある。水風呂のあとは、ウッドデッキで森の外気浴。葉擦れの音と夜気だけの世界に、身体がほどけていく。
ジャグジーとキッチン、BBQグリルも備わっているから、サウナのあとの夜も長く愉しめる。仲間と語らう夜にも、家族で静かに過ごす夜にも向いている。
火を落とした後に
サウナの夜のいちばんいい時間は、じつは火を落とした後に来る。ほてりの残る身体で飲む冷たい水。軽くなった頭で交わす、とりとめのない会話。その夜は、驚くほど深く眠れるはずだ。そして翌朝、目が覚めたらもう一度サウナを温めればいい。貸切とは、つまり「もう一度」が何度でも許される滞在のことだ。
季節によって、この夜は表情を変える。夏は夜風そのものがご褒美になり、冬は外気の鋭さが仕上げの一手になる。同じ宿でも、訪れる季節が違えば別の一晩になる。プライベートサウナが「また行きたくなる」滞在である理由は、たぶんそこにある。
一棟貸しヴィラの相場は、1棟あたり中央値で約7万円/泊。人数で割れば、大人数なら1人1万円前後に収まることも多い。プライベートサウナの夜は、思っているより手の届く贅沢だ。
次の休みの夜を、熱と静けさに預けてみたい人へ。