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日本の四季を、自分たちだけの空間で 貸切の宿で季節の中に住む

· 泊まり火編集部

桜の開花予想に一喜一憂して、見頃の週末に人混みへ出かける。紅葉の名所に車を連ね、渋滞の中で日が暮れる。私たちは四季を「見に行くもの」として扱うことに、少し慣れすぎているのかもしれない。

けれど本来、季節は見物するものではなく、その中で暮らすものだった。朝起きて空気の温度が変わったことに気づき、日の長さで夕食の時間が動く。貸切の宿は、その感覚を数日だけ取り戻させてくれる。チェックインからチェックアウトまで、窓の外の季節はずっと自分たちだけのものだ。花見の場所取りも、紅葉狩りの行列もない。ただ、季節の中に住む。

春、花明かりの中で目覚める

春の貸切滞在のいちばんの贅沢は、朝にある。名所の桜は昼に混み合うが、宿の窓から見える春は、夜明けから独占できる。カーテンを開けると、昨日より少しほどけた花と、まだ誰の声もしない湖畔。淹れたての茶を持ってテラスに出れば、花冷えの空気が頬に触れる。

夜は夜で、春には「花明かり」という言葉がある。灯りを落とした部屋から眺める夜桜は、昼間の華やぎとはまるで別のものだ。誰にも急かされず、散り際の一週間をまるごと自分たちの時間にできるのは、季節の中に泊まる者の特権だと思う。

河口湖畔の桜越しに望む富士山
Photo: Midori / CC BY 3.0 (Wikimedia Commons)

春の朝が叶う宿: 天空の温泉ヴィラ 紬(つむぎ)河口湖

天空の温泉ヴィラ 紬(つむぎ)河口湖公式サイトよりヴィラ富士河口湖・富士五湖(山梨) · 山梨県天空の温泉ヴィラ 紬(つむぎ)河口湖最大6名 · 139,000円〜 / 泊施設ページを見る →

湖畔が桜色に染まる春の河口湖で、高台から湖を見下ろす全5棟のプライベートヴィラ。全棟から富士山と河口湖を望む立地だから、部屋にいながら春の湖景を独り占めできる。天然温泉の露天風呂に浸かれば、山肌を渡る春の風と湯気がひとつになる。屋内にはプライベートサウナも備わり、花冷えの夜にもありがたい。最大6名、家族の春休みにもちょうどいい規模だ。

夏、海の色を確かめる朝

夏の記憶は、光の記憶だ。朝、目覚めてすぐに海の色を確かめる。昼は水平線の照り返しがリビングの天井に揺れ、夕方には空と海が同じ茜色に溶けていく。海辺の貸切の宿では、この光のうつろいがまるごと一日の時間割になる。

海水浴場の喧噪から離れて、夕凪の時間にテラスで火を熾す。日が落ちきってもまだ生ぬるい風、遠くの波音、氷の音。夏を「涼みに行く」のではなく、夏そのものの中に腰を据える滞在だ。

夜明けの海を望む寝室の窓辺
Photo: OKJaguar / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

夏の光と暮らす宿: 京・Tango Resort sea side villa umiharuka(海遥)

京・Tango Resort sea side villa umiharuka(海遥)公式サイトよりヴィラ京丹後(京都) · 京都府京・Tango Resort sea side villa umiharuka(海遥)最大10名施設ページを見る →

京丹後・間人(たいざ)の海辺に建つ一棟貸しのヴィラ。日本海を望みながら天然温泉に浸かり、サウナと水風呂で身体を整え、無煙ロースターでBBQを囲む。目覚めてすぐカーテンを開けて海の色を確かめる。そんな夏の朝が、ここでは毎日続く。寝室4室・最大10名で、仲間や三世代での夏の集まりにも応えてくれる一軒だ。

秋、山の色づきを火のそばで

秋は、季節が動く速度を最も感じられる季節だ。山の色は一週間ごとに深まり、朝晩の空気は日に日に冷たさを増していく。その変化を渋滞の車列からではなく、宿の窓から定点で眺められたらどうだろう。

秋の貸切滞在には、火がよく似合う。色づいた山を眺めたあと、薪の爆ぜる音を聞きながら夜を過ごす。木の燃える匂いは、どこか懐かしい。紅葉は目で味わう季節だと思われがちだが、本当は耳と鼻で味わう季節でもある。

紅葉が水面に映る秋の池
Photo: Guillaume Nargeot / CC BY 3.0 (Wikimedia Commons)

秋の火と過ごす宿: Kito NASU(キト ナス)

Kito NASU(キト ナス)公式サイトよりヴィラ那須高原(栃木) · 栃木県Kito NASU(キト ナス)最大8名 · 63,000円〜 / 泊施設ページを見る →

山々が色づく那須高原、那須ICから車で約5分の一棟貸しヴィラ。ここの主役は薪の火だ。薪でじんわりと温まる本格プライベートサウナと、室内の薪ストーブ。冷えた秋の空気の中でサウナの熱を浴び、夜はストーブの火を眺めながら長い話をする。4LDK・最大8名だから、それぞれが好きな場所で秋の夜を過ごせる。テラスでのBBQも用意されている。

冬、雪の静けさと星の冴え

雪の朝の静けさには、独特の質感がある。音が雪に吸われて、世界の音量がひとつ下がる。貸切の宿でそれを迎えると、静寂まで自分たちのものになったような気がする。誰の足跡もない雪面、窓の内側の暖気、ガラス一枚を隔てた白い世界。

そして冬は、一年でいちばん星が冴える季節でもある。冷えた空気は澄み、夜は長い。暖かい部屋と凍てつく屋外を行き来しながら過ごす冬の夜は、貸切の宿がいちばん豊かにしてくれる時間だ。

冴えわたる冬の星空
Photo: Ammar Yasir / CC BY 3.0 (Wikimedia Commons)

雪ごもりが叶う宿: TAIGA Niseko ― SESHU(雪舟)

TAIGA Niseko ― SESHU(雪舟)公式サイトよりヴィラニセコ(北海道) · 北海道TAIGA Niseko ― SESHU(雪舟)最大12名施設ページを見る →

世界有数の雪の里・ニセコのローワーヒラフに建つ、その名も「雪舟」。吹き抜けの梁が美しいリビングに暖炉の火が揺れ、窓の外は一面の雪景色という冬ごもりの舞台だ。5つの寝室にはそれぞれ専用バスルームが付き、最大12名。屋外のジャグジーで雪の冷気と湯の温もりを同時に味わう。冬にしかできない過ごし方が、ここにはそろっている。

季節の中に住むということ

春の花明かり、夏の海の色、秋の薪の音、冬の雪の静けさ。どれも観光バスの車窓からでは持ち帰れない、「そこに居続けた者」だけの記憶だ。貸切の宿は、季節を見物から暮らしに戻してくれる。次の旅は名所ではなく、季節そのものを目的地にしてみてはどうだろう。

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