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日本のどこに、貸切の宿はあるか|654軒の分布

· 泊まり火編集部

東京都には、貸切の宿が3軒しかない。人口1,400万人の都道府県に、3軒。

しかもその3軒は、都心から見ると全部が西の端にある。

泊まり火に掲載している654軒を数え直すと、こういう地図が出てくる。思っていたのとは、少し違う地図だ。

夜の日本列島を宇宙から見た灯り
Photo: NASA / Public domain (Wikimedia Commons)

47都道府県、全部にある。ただし25倍違う

654軒は、47都道府県のすべてに分布している。掲載ゼロの県はない。

ただし均等ではない。いちばん多い沖縄県が50軒、次ぐ兵庫県が47軒、いちばん少ない青森県は2軒。密度にすると25倍の差がある。「日本のどこでも貸切の宿に泊まれる」は正しいが、「どこでも同じように選べる」は正しくない。

兵庫県の47軒のうち、36軒は淡路島にある

上位12県はこうなる。

都道府県 軒数
沖縄県 50軒
兵庫県 47軒
千葉県 41軒
山梨県 41軒
神奈川県 32軒
静岡県 30軒
長野県 31軒
京都府 24軒
三重県 23軒
広島県 21軒
滋賀県 22軒
栃木県 21軒

この並びを見て「兵庫県に47軒?」と思った人は鋭い。兵庫県の47軒のうち36軒は淡路市・洲本市・南あわじ市、つまり淡路島にある。神戸や姫路の話ではない。同じように、山梨県41軒のうち30軒は富士河口湖町・山中湖村・忍野村・鳴沢村・富士吉田市に集まっていて、甲府ではない。

県の数字は、たいていひとつのエリアの数字だ。分解するとこうなる。沖縄県50軒のうち26軒は宮古島市・石垣市・久米島町などの離島。千葉県41軒のうち17軒が南房総市から御宿町までの房総南部で、別に10軒が九十九里沿い。静岡県30軒のうち16軒は伊豆半島と熱海。長野県31軒のうち14軒は軽井沢町と白馬村。

ここから2つの型が見える。ひとつは大都市から車で2〜3時間の別荘地帯(房総・富士五湖・伊豆・軽井沢・那須)。もうひとつは島とリゾート(淡路島・沖縄の離島)。前者は「行きやすいから増えた」場所で、後者は「行きにくいから残った」場所だ。増え方の理由が正反対なのに、結果として同じ上位に並ぶ。

入り江の続く海岸線
Photo: Thomas Kelley / CC0 (Wikimedia Commons)

地方別では、3地方で6割

地方でまとめると、近畿146軒(22%)、中部143軒(22%)、関東130軒(20%)、九州77軒(12%)、沖縄50軒(8%)、中国44軒(7%)、東北28軒(4%)、四国24軒(4%)、北海道16軒(2%)。

関東・中部・近畿の3地方で6割を超える。人口の集まる場所の周りに宿が増えるのは自然だが、面積で見ると北海道の16軒はかなり薄い。九州が77軒と健闘しているのは、温泉地とグランピングの新設が重なった結果に見える。

少ない県のほうが、行くと効く

下位はこうだ。青森県2軒、東京都と島根県が各3軒、長崎県と富山県が各4軒。山形県・岩手県・秋田県・愛媛県・宮城県・佐賀県・石川県・香川県が各5軒で続く。

数が少ないのは、選べないということだ。日程と人数を決めてから探すと、たいてい埋まっている。けれど裏を返せば、その県で貸切に泊まっている人は、それだけ少ないということでもある。混んでいないのは宿の中だけではない。

森の中に続く山道
Photo: Rob Young / CC BY 2.0 (Wikimedia Commons)

東京の3軒は、全部が西の山にある

冒頭の東京都に戻る。3軒の中身はこうだ。

檜原村のTHEATER1(シアターワン)は、100インチのシアターを備えた一棟貸し。同じ檜原村の渓谷沿いにあるKEIKOKU GLAMPING TENTは独立したプライベートヴィラ2棟で、清流を望む薪焚きサウナがある。ウッドランド ボシーはあきる野・養沢の山中、駐車場から山道を20分登った先の1日1組限定だ。

東京に貸切の宿がないのではなく、東京の山にある。都心から1時間ほどで、地名も東京都のまま、渓谷と山道の側に出られる。

この3軒が示しているのは、貸切の宿が「都市から遠いこと」ではなく「地形が変わること」を条件にしている、という事実に近い。

県境をまたぐと、景色が変わる

だから実務としては、県で探すのをやめるのがいい。

東京都は3軒だが、千葉県41軒・山梨県41軒・神奈川県32軒は、いずれも都心から2〜3時間圏にある。島根県が3軒でも、隣の鳥取県は7軒、広島県は21軒ある。富山県4軒の隣には長野県31軒と岐阜県12軒がある。

行政区画は宿の分布と関係がない。移動時間で円を描いたほうが、実際の選択肢に近い地図になる。地図から探すページやエリアガイドを使うのは、たぶんそのためだ。

数の多さは、体験の質ではない

最後にひとつ。ここまで数の話をしてきたが、軒数が多い県が良い県ということではない。淡路島に36軒あるのは選びやすさであって、その1軒がいいかどうかとは関係がない。北海道の16軒のうちの1軒が、その旅でいちばんの夜になることは普通にある。

数は「選択肢の広さ」を示すだけだ。広いところでは条件で絞り込み、狭いところでは条件を諦めて日程を合わせる。地図を先に見ておくと、どちらの戦い方をすればいいかが最初に分かる。

よくある質問

貸切の宿がない都道府県はありますか?
ありません。泊まり火の掲載654軒は47都道府県すべてに分布しています。ただし密度の差は大きく、いちばん多い沖縄県が50軒、次ぐ兵庫県が47軒で、いちばん少ない青森県は2軒です。
東京都に貸切の宿はありますか?
あります。3軒あり、いずれも都心ではなく西側の山にあります。檜原村のTHEATER1とKEIKOKU GLAMPING TENT、あきる野のウッドランド ボシーです。
行きたい県に宿が少ないときはどうすればいいですか?
隣の県まで範囲を広げると選択肢が大きく変わります。たとえば東京都は3軒ですが、千葉県41軒・山梨県41軒・神奈川県32軒はいずれも都心から2〜3時間圏にあります。

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