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一棟貸しに、歯ブラシは無い|持ち物は書いてあるものから逆算する

· 泊まり火編集部

一棟貸しに着いて、荷物を置いて、洗面所に行ったところで気づく。

歯ブラシが無い。

ホテルではなかった、ということを、その瞬間に思い出す。

家の室内
Photo: Naomi Hébert / CC0 (Wikimedia Commons)

書かれているのは、建物に付くものだけ

予約サイトや公式サイトの設備欄に、何が並んでいるかを思い出してほしい。

プール。サウナ。温泉。客室温泉。露天風呂。共用温泉。BBQ。ジャグジー。キッチン。暖炉。Wi-Fi。駐車場。EV充電。ワークスペース。プロジェクター。

泊まり火が設備として扱っている項目も、この15個だ。並べてみると共通点がある。全部、建物に付いているものだ。

タオルの欄がない。歯ブラシの欄もない。ドライヤーもスリッパも、この並びには入ってこない。

これは業界の不親切というより、書かれる単位が違うのだと思う。ホテルは客室に何を備えるかが商品の一部だから、アメニティが商品説明に入る。一棟貸しは建物を貸している。だから説明されるのは建物のほうになる。

人向けの備品に触れているのは、19軒だった

実際に数えてみた。

掲載している654軒のうち、人向けのアメニティに触れているのは19軒。2.9%しかない。個別に見るともっと少ない。

触れている軒数
歯ブラシ 1軒
シャンプー 2軒
バスローブ 2軒
パジャマ・浴衣 3軒
石けん類 3軒
タオル 6軒
ドライヤー 11軒
スリッパ 0軒

書いていないから無い、という意味ではない。タオルは実際には多くの宿に用意されているはずだ。ただ、公開情報から判断できないということになる。

ちなみにアメニティという語に触れている宿は全部で37軒あるが、そのうち18軒は愛犬用のアメニティの話だった。人向けより犬向けのほうが、書かれる率が高い。

キッチンはあるが、鍋があるかは分からない

もっと効いてくるのはここだ。

キッチンがある宿は311軒あり、これは設備欄に載るので確実に分かる。ところが、その311軒のうち中身に触れているのは、こうなる。

  • 調理器具: 43軒
  • 電子レンジ: 28軒
  • 食器: 18軒
  • 炊飯器: 11軒
  • 調味料: 8軒

キッチンという部屋があることは書かれるのに、その部屋に何が入っているかは書かれない。だから「キッチン付きだから」と食材だけ買って行くと、フライパンが1つしかない、包丁が思ったより小さい、米は炊けるが研ぐボウルがない、という細かいずれが起きる。

自然光の入る広いキッチンとダイニング
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 (Wikimedia Commons)

例外もある。河口湖の天空の温泉ヴィラ 紬(つむぎ)河口湖は、キッチンツールと電化製品とアメニティがひととおりそろうため長期の滞在にも向くと書いている。古宇利島のYuki Suite Kourijimaも、キッチン設備とアメニティと洗濯乾燥機がそろうと書いたうえで、食事の提供はなく食材を持ち込んで作るスタイルだと明記している。

書いている宿は、はっきり書く。書かない宿が多いだけだ。

食事のことは、分かる

持ち物のうち、食べるものだけは公開情報から決められる。

食材付きや食事付きに触れているのは258軒。うちグランピングが223軒で、ヴィラは35軒しかない。逆に素泊まりに触れているのは117軒、持ち込みに触れているのは148軒で、こちらはヴィラにも多い。

つまり大づかみには、グランピングは食べるものを用意してくれる場所で、ヴィラは食べるものを持っていく場所だということになる。手ぶらという言葉に触れている56軒も、中身を読むとほとんどがBBQの食材の話だった。

茨城のエトワ笠間は約60種類から選べる無料のアメニティバーを置いていて、この方向ではかなり珍しい。岐阜の長良川リバーサイドグランピング KITENも各棟にホテル並みのアメニティを備えると書いている。グランピング側には、ホテルに寄せる宿がときどきある。

逆算のしかた

書いてあるものから、持ち物は決まる。

まず食事。食材付きや食事付きなら、食べるものは持っていかない。 素泊まりや持ち込み前提なら、着く前に買い出しをする。三が日や地方の夜は店が閉まるので、年末年始のような時期は特に先に積んでおく。

次にキッチン。使う予定があるなら、調理器具と食器の内容を聞く。ここが分からないまま凝った料理を計画すると、たいてい道具が足りない。

最後に消耗品。これは聞くのがいちばん早い。

聞くのは、三つでいい

  1. タオル: バスタオルとフェイスタオルが人数分あるか
  2. 洗面用具: 歯ブラシ、シャンプー、石けんがあるか
  3. ドライヤー: あるか、何台か

この3つが返ってくれば、荷物は決まる。無いと分かっていれば持っていけばいいだけで、困るのは着いてから知ることだ。

予約前に確かめることの全体は一棟貸しヴィラの予約で失敗しない10のチェックポイントにまとめている。グランピングで客室タイプを選ぶなら、設備は施設ではなく部屋に付くもあわせてどうぞ。

家に泊まる、ということ

歯ブラシが無いのは、手抜きではない。

家に歯ブラシの予備は置いていない。友人の家に泊まるときも同じで、洗面用具は自分で持っていく。一棟貸しはそれに近い形式で、だから説明も家のことばかりになる。何畳あって、何が備わっていて、どこから何分か。

その代わり、ホテルでは手に入らないものがある。台所と、時間の自由と、誰にも気を使わない夜。歯ブラシ1本と引き換えなら、悪い取引ではない。

条件から探すなら宿を探す、地域から見るならエリアガイドからどうぞ。

よくある質問

一棟貸しの宿にアメニティはありますか?
ある宿もありますが、書かれていないことがほとんどです。掲載している654軒のうち、人向けのアメニティに触れているのは19軒(2.9%)でした。歯ブラシに触れているのは1軒、タオルは6軒、ドライヤーは11軒、スリッパは0軒です。無いという意味ではなく、公開情報から判断できないという意味になります。
キッチン付きと書いてあれば、調理器具もありますか?
たいていありますが、確かめたほうがよいです。キッチンがある311軒のうち、調理器具に触れているのは43軒、食器は18軒、炊飯器は11軒、調味料は8軒だけでした。部屋があることは書かれても、その中身は書かれない傾向があります。
食事は持っていく必要がありますか?
これは公開情報から判断できます。食材付きや食事付きに触れているのは258軒、素泊まりは117軒、持ち込みに触れているのは148軒です。グランピングは食材付きが223軒と多く、ヴィラは35軒で、食材を持ち込む前提の宿が多くなります。
なぜアメニティが書かれていないのですか?
設備の欄が建物向けにできているためだと考えられます。プール、サウナ、温泉、キッチン、暖炉、駐車場。予約サイトでも公式サイトでも、並んでいるのは建物に付いているものばかりで、消耗品の欄がありません。ホテルの客室設備とは、そもそも書かれる単位が違います。
予約前に何を聞けばよいですか?
タオル、洗面用具、ドライヤーの3つで足ります。この3つが出れば、あとは食事の条件から持ち物が決まります。キッチンを使う予定なら、調理器具と食器の内容もあわせて聞いておくと買い出しが正確になります。

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