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30,000㎡の宿に、118㎡の家が建つ|その面積はどこの数字か
群馬・みなかみの果樹園グランピングヴィラHARASAWAは、30,000㎡の果樹園に建っている。
同じ紹介文に、もうひとつ数字が出てくる。ログハウス「The Apple」は延べ床118㎡、最大6名。
どちらも㎡だ。片方は果樹園で、片方は家。254倍の差がある2つの数字が、同じ単位で並んでいる。
同じ㎡が、7倍違うものを指している
泊まり火の掲載654軒のうち、本文に面積を㎡で書いているのは200軒で30%。ヴィラ98軒、グランピング102軒とほぼ半々だ。
その200軒に、㎡は309回出てくる。前後の語から機械的に分類すると、こうなった。
| 何の面積か | 回数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 客室・棟 | 136回 | 100㎡ |
| 敷地 | 53回 | 685㎡ |
| ドッグラン | 46回 | 150㎡ |
| 判定できず | 21回 | 76㎡ |
| 延べ床 | 13回 | 118㎡ |
| テラス・デッキ | 12回 | 79㎡ |
| プール | 12回 | 101.5㎡ |
| 庭・浴室など | 16回 | ー |
客室の中央値100㎡に対して、敷地は685㎡。7倍近い。範囲で見ると客室は10〜340㎡、敷地は25〜14,000㎡で、桁がひとつ違う。
その14,000のほうにいるのが、山梨のヴィラグリファーム七里岩だ。敷地面積14,000㎡、棟は2つ、定員6名。世界的に知られる建築家の設計で、富士山と南アルプス、八ヶ岳を望む。14,000という数字が語っているのは景色と距離であって、部屋の広さではない。
1つの宿に、3つの㎡が出てくる
同じ宿の紹介文の中で、㎡が違うものを指していることもある。
山梨のなごみリゾートRun八ヶ岳には3つ出てくる。敷地は約5,600㎡の森に6棟、各棟に約130㎡の専用ドッグラン、そして敷地内には約2,500㎡の大型ドッグラン。3つとも㎡で、3つとも別のものだ。
栃木のグランフォレスタヴィラ日光は、客室73㎡に対して専用ドッグランが最大1,000㎡超。ドッグランが客室の14倍ある。これは「1,000㎡のヴィラ」ではない。
いちばん紛らわしいのは群馬のDot Glamping 北軽井沢だ。専用プライベートドッグランが約15〜20㎡。そして客室のジオルームも約15〜20㎡。同じ数字が、庭と部屋の両方に付いている。
室内10㎡に、庭145㎡
もっと実務に効くのは、客室の面積に屋外が入っているかどうかだ。内訳まで書いている宿を見ると、その割合がはっきりする。
沖縄・宮古島のCLASS THE FIRST 宮古島は、プールヴィラスイートを総面積150.20㎡、室内87.92㎡、屋外64.29㎡と書く。屋外が43%。クイーンズヴィラスイートも総面積212.94㎡のうち室内133.87㎡、屋外79.07㎡で、こちらは37%になる。
熊本のHUMMER VILLAGE 天草は72.04㎡のうち室内51.34㎡、テラス20.70㎡。屋外は29%。三重のUMIBE 伊勢志摩は室内270㎡、ガーデン100㎡、バルコニー30㎡と3つに分けて書いている。岐阜のメダリオンリゾート 恵那は専有面積300㎡のうち200㎡超がプライベートドッグランなので、建物側は100㎡を切る計算になる。
石垣島のVilla El Cielo Ishigakiにいたっては逆転する。LUNAは面積165㎡に、175㎡の屋上テラス。屋外のほうが広い。SOLは面積338㎡に223㎡の屋外テラスが付く。
そして滋賀のドッググランピング滋賀高島。スマートキャビンは室内約10㎡、庭約145㎡。庭が室内の14倍ある。
内訳を書いているこれらの宿は、不親切どころか親切な部類になる。書いていない宿では、その数字に屋外が入っているかどうかを判断する手がかりがない。
「1人あたり何㎡」を計算して、失敗した
寝室2室を、8人でどう分けるかでは、定員を寝室数で割って1寝室あたり3人という数字を出した。同じことを面積でやってみて、やめた。
機械的に計算すると、上位に来るのは「専有面積340㎡・定員4名」のように屋外を含んだ数字を持つ宿ばかりになる。下位には長野のGLAMPING BASE enCampが来るが、これは約13㎡のMドームテントという1タイプの数字を施設全体の定員で割ってしまった結果で、実態を表していない。
分母も分子も揃っていない割り算は、順位を作るだけで意味を持たない。料金は1棟か、1人かで単位をそろえる話を書いたが、面積も同じだ。そろっていないものは、割る前の段階で止めたほうがいい。
比べるなら、室内面積どうしに揃える。それができないなら、比べない。
畳に直すと、体感が戻る
㎡はもともと体感しにくい単位だ。1畳がおよそ1.62㎡なので、換算するとつかみやすくなる。
- 13㎡ ≒ 8畳(ドームテント1張り)
- 20㎡ ≒ 12畳(ワンルームのジオルーム)
- 73㎡ ≒ 45畳(客室1棟)
- 100㎡ ≒ 62畳(客室の中央値、3LDKのマンション程度)
- 340㎡ ≒ 210畳
- 685㎡ ≒ 423畳(敷地の中央値)
客室の中央値100㎡を62畳と読み替えると、「広い家を1軒借りる」という規模感がそのまま出てくる。一方で敷地685㎡の423畳は、建物の広さとは無関係な数字だと分かる。
この数字について
母数は掲載654軒(公開中、重複を除く)。面積を書いているのは200軒で、残る458軒は㎡を公表していない。書いていないから狭いのではなく、間取りや面積を出さない宿が多いというだけだ。
分類は本文の前後の語から機械的に行ったもので、正確な集計ではない。309回のうち21回は判定できなかったし、判定できたものにも取り違えは残る。ただし客室100㎡と敷地685㎡という差は分類の誤差より大きいので、方向としては読める。中央値はいずれも記述の回数に対するもので、軒数ではない。1軒で複数タイプの面積を書いている宿は、その分だけ回数に入っている。
そして、その面積に何が含まれるかを書いている宿はごく少数だ。内訳を公開しているのはこの記事で挙げた数軒程度で、大半は「◯㎡」とだけ書いてある。
聞くのは、一行でいい
「◯㎡というのは、室内の面積ですか」
これだけで、テラスやドッグランや敷地が混ざっているかどうかが分かる。返ってきた数字を1.62で割れば畳になり、自宅と比べられる。
面積は、宿が自信を持って出してくる数字だ。だからこそ、いちばん大きく見える数字が選ばれていることがある。どこを測ったのかは、たいていその数字のすぐ隣に書いてある。
よくある質問
- 宿の紹介にある「◯㎡」は何の面積ですか?
- 宿によって違います。泊まり火の本文に出てくる㎡309回を前後の語から分類すると、客室や棟が136回、敷地が53回、ドッグランが46回、延べ床が13回、テラスやデッキが12回、プールが12回でした。中央値は客室が100㎡、敷地が685㎡で7倍近く開きます。何を測った数字かを確かめないと比較できません。
- 面積には屋外が含まれますか?
- 含む宿があります。宮古島のCLASS THE FIRSTはプールヴィラスイートの総面積150.20㎡の内訳を室内87.92㎡・屋外64.29㎡と公開していて、4割が屋外です。石垣島のVilla El Cielo IshigakiのLUNAは面積165㎡に175㎡の屋上テラスが付き、屋外のほうが広くなります。
- 広さを公開している宿はどれくらいありますか?
- 654軒のうち200軒(30%)で、ヴィラ98軒、グランピング102軒とほぼ半々です。残る7割は面積を公表していません。書いていないから狭いという意味ではなく、間取りや面積を出さない宿が多いというだけです。
- 1人あたりの広さで比べられますか?
- おすすめしません。公開されている㎡が客室なのか敷地なのか、屋外を含むのかが揃っていないためです。同じ計算式を当てると、庭145㎡・室内10㎡のキャビンが「広い宿」に見えてしまいます。比べるなら室内面積どうしに揃えてください。
- 予約の前に何を確認すればよいですか?
- その数字が室内なのかどうかを聞くことです。「◯㎡というのは室内の面積ですか」の一言で足ります。あわせて、畳に直すと感覚がつかめます。1畳はおよそ1.62㎡なので、100㎡は約62畳、20㎡は約12畳です。




