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隣の棟に、人はいるか|「一棟貸し」が貸し切っている範囲

· 泊まり火編集部

沖縄・宮古島のたびのヴィラ宮古島に、こう書いてある。

全4棟で、いずれも1棟貸切。

矛盾しているように読めて、していない。貸し切っているのは棟であって、敷地ではないからだ。

「一棟貸し」と書いてある。では、隣の棟に人はいるか。その答えは、この4文字の中には入っていない。

番号のついたコテージが道沿いに並ぶ
Photo: Masikyo / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

ヴィラの半分は、一棟貸しではない

泊まり火の掲載654軒は、掲載データ上で3つに分かれている。一棟貸し型が162軒、ヴィラ型リゾートが162軒、グランピングが330軒。

ヴィラとして掲載している321軒に絞ると、一棟貸し型162軒に対してヴィラ型リゾートが158軒。ほぼ半々になる。

ヴィラ型リゾートというのは、施設の中に何棟かの客室があって、そのうち1棟に泊まる形を指す。棟の中は自分たちだけだが、施設全体は自分たちだけではない。ヴィラ・グランピング・コテージ・貸別荘の違いで整理した種類の話を、もう一段細かくしたものだと思ってほしい。

一棟貸し型でも、隣に棟はある

ややこしいのは、掲載データ上で「一棟貸し型」に分類した宿の中にも、同じ敷地に何棟も並ぶものがあることだ。

兵庫のSolaVilla 海テラス南あわじは全15棟のリゾート貸別荘。山梨のAWAUMI富士河口湖リゾートは全16棟、同じ山梨の天空の温泉ヴィラ 紬 河口湖は全5棟。沖縄のVilla VALIOSA ON THE BEACHは全6棟で、プライベートプールヴィラ古宇利 The Sweetは全2棟限定。

SolaVillaは編集部が実際に泊まった宿でもある。1棟の中の体験は完全に独立していた。そのうえで、敷地には15棟が並んでいた。棟の中が貸切という体験と、敷地に自分たちだけという体験は、別のものだ。

本文に「全2棟以上」と書いてある宿は120軒あり、その中央値は6.5棟。最大は山梨のグランピングヴィレッジ河口湖の30棟。棟数を書くのはグランピングが86軒と多く、ヴィラ型リゾートが26軒、一棟貸し型は8軒だった。

敷地ごと1組は、116軒

では、敷地ごと自分たちだけになる宿はどれくらいあるか。「1日1組」「1組限定」と明記しているのは654軒中116軒で、18%だった。

タイプ 軒数 1日1組
一棟貸し型 162軒 56軒(35%)
ヴィラ型リゾート 162軒 20軒(12%)
グランピング 330軒 40軒(12%)

一棟貸し型でも、1日1組と書いているのは3軒に1軒ほどにとどまる。書いていない宿がすべて複数組というわけではないが、明記がなければ確認は要る。

もっと面白いのは、ヴィラ型リゾートにも1日1組が20軒あることだ。大分のテラ由布院は「コンセプトの異なる4棟が集まる1日1組限定の貸切別荘」。4棟あって、それを1組で使う。棟数と組数は、はじめから独立した2つの数字なのだと分かる。

リゾートの庭
Photo: St / CC BY-SA 2.0 (Wikimedia Commons)

1日1組は、少人数の贅沢ではない

ここで数字がひとつ、予想を裏切る。

1日1組の宿の定員の中央値は8名。掲載全体の中央値は6名だから、1日1組の宿のほうが大きい。

上を見るとはっきりする。福島の響きのサウナグランピングは1日1組限定で最大25名。栃木のkotorine 那須が16名、鹿児島・奄美のsu imeが15名、千葉のオーシャンリゾート館山が14名。静岡の海色テラス熱海は「大邸宅を1日1組だけで使うという構成」と書いて13名を受け入れる。

「1日1組」は、ふたりで静けさを買うための仕組みだけではない。大人数をまるごと1組として引き受ける形でもある。なぜ宿が数を絞るのかは1日1組の経済学に書いた。こちらは、その表示をどう読むかの話だ。

夕暮れの海辺にいる家族
Photo: Paul Harrison / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

プールヴィラを予約しても、ジャグジーは隣と順番

敷地を共有するとき、実際に何を分け合うのか。共用・共有に触れている記述は38軒(ヴィラ11軒、グランピング27軒)あって、中身はばらばらだった。

いちばん具体的なのは沖縄のCRYSTAL VILLA池間で、ジャグジーがB棟とC棟の共用になる。プールヴィラを予約しても、ジャグジーは隣と順番、という構造だ。

長野のcoco villa 白馬01は駐車場が01と02の共有部で、冬は最大2台まで。定員は足りても、駐車場が足りないで見た台数の問題が、ここでは隣の棟との取り合いになる。

千葉のCairns House SANA 館山は、テニスコートとバスケットゴール、トランポリンが2棟の共用。京都のGLAMP JPは全13棟のヴィラで、共用の貸切サウナを時間で使う。兵庫のコーラルリゾート淡路島厚浜には「共用施設のドリンク提供は19時まで」という一行がある。

共用そのものが悪いわけではない。共用のサウナやドッグランは、1棟では持てない規模になることも多い。困るのは、それを知らずに予約したときだけだ。

差が出るのは、夜と朝

棟が分かれているだけの宿と、敷地ごと貸切の宿で、何が変わるか。

夜の音だ。焚き火を囲んで何時まで話せるか。子どもが走り回っていいか。犬が吠えたらどうするか。大人数の夜を、上質に整えるで書いたような時間は、隣に別の組がいるかどうかで質が変わる。

朝の匂いもある。7時から隣でBBQが始まることもあれば、こちらが始める側になることもある。

そして視線。プールやテラス、露天風呂が屋外にあるほど、隣の棟との距離と向きが効いてくる。

裏を返せば、ふたりで静かに過ごすだけなら、ヴィラ型リゾートでも困らないことが多い。棟の中が独立していれば足りるからだ。差が効いてくるのは三世代や大人数、小さな子ども連れ、犬連れ。音と動きが出る組み合わせのときになる。

この数字について

母数は掲載654軒(公開中、重複を除く)。タイプの3分類は掲載データ上の区分で、一棟貸しと言い切れない施設にヴィラ型リゾートを付けている(掲載基準)。判断は編集部によるので、境界のケースは揺れる。

「1日1組」の116軒と「全2棟以上」の120軒は、本文に書いてある宿だけを数えたものだ。書いていない宿が複数組だとか単棟だとか、どちらの意味でもない。棟数を公表していない宿がいちばん多い、というのが実態になる。共用の38軒も同じで、共用部がある宿がこれだけという意味ではなく、共用部について書いている宿がこれだけという意味だ。

棟と棟の距離、向き、あいだに何があるか。ここまで公表している宿はほとんどない。地図の航空写真で敷地を見るのが、いまのところいちばん早い。

確かめるのは、2つ

ひとつ、「全◯棟」を探す。書いてあれば、その数だけ他の組がいる可能性がある。書いていなければ聞く。「敷地には何棟ありますか」の一言で済む。

ふたつ、共用の設備があるかを確かめる。駐車場、サウナ、ドッグラン、プール。共用と分かっていれば時間をずらせるし、専用だと思い込んで行くと、その分だけがっかりする。

「貸切」という言葉は、棟にも、敷地にも、区画にも使われている。どれを貸し切っているのかは、たいていその隣の行に書いてある。

よくある質問

「一棟貸し」なら、敷地に自分たちだけですか?
とは限りません。一棟貸しは建物の単位で、敷地の単位ではありません。泊まり火のヴィラ321軒のうち、一棟貸し型(whole-house)は162軒で、残る158軒はヴィラ型リゾートです。一棟貸し型の中にも、SolaVilla 海テラス南あわじ(全15棟)やAWAUMI富士河口湖リゾート(全16棟)のように、同じ敷地に何棟も並ぶ宿があります。
敷地ごと貸切になる宿はどれくらいありますか?
「1日1組」を明記しているのは654軒中116軒(18%)です。タイプ別では一棟貸し型が162軒中56軒(35%)、ヴィラ型リゾートが162軒中20軒(12%)、グランピングが330軒中40軒(12%)。一棟貸し型でも、1日1組と書いているのは3軒に1軒ほどです。
1日1組の宿は少人数向けですか?
むしろ逆の傾向があります。1日1組の宿の定員の中央値は8名で、掲載全体の6名より大きくなります。福島の響きのサウナグランピングは1日1組で最大25名、栃木のkotorine那須は16名、静岡の海色テラス熱海は「大邸宅を1日1組だけで使う」構成で13名です。
同じ施設の他の棟と、何を共用しますか?
宿によります。共用・共有に触れている記述は38軒で、内容は駐車場、ドッグラン、サウナ、ジャグジー、テニスコートなどさまざまです。宮古島のCRYSTAL VILLA池間はジャグジーがB棟とC棟の共用、長野のcoco villa白馬01は駐車場が01と02の共有部です。
予約の前に何を確認すればよいですか?
「全◯棟」の表記を探すのがいちばん早い方法です。棟数が書いてあれば、その数だけ他の組がいる可能性があります。あわせて共用設備の有無と、敷地ごと1組かどうかを確認してください。大人数や小さな子ども連れ、犬連れほど、この差が滞在の体感を変えます。

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