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その湯が何かは、着いてから分かる|「温泉付き」250軒の中身

· 泊まり火編集部

温泉のある宿に泊まる。荷物を置いて、湯に入る。

そしてたぶん、その湯が何なのかを知らないまま帰る。

山あいの露天風呂
Photo: Alpsdake / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

250軒のうち、湯の中身を書いているのは2割

掲載している654軒のうち、温泉のある宿は250軒ある。ヴィラが103軒、グランピングが147軒。

その250軒が、湯について何を書いているかを数えた。

触れている軒数
天然温泉 85軒(34%)
泉質 48軒(19%)
かけ流し 34軒(14%)
加水・加温・循環 3軒(1%)
効能 3軒(1%)
湯温 2軒(1%)
源泉名 0軒

「温泉」と書いてあることは分かる。その湯が何なのかは、たいてい書かれていない。泉質まで書いているのは5軒に1軒、かけ流しは7軒に1軒だ。このうち「源泉かけ流し」とはっきり書いているのは26軒(10%)で、残りは「かけ流し」とだけある。源泉名にいたっては、250軒のどこにも出てこない。

念のため書いておくと、これは「触れていない216軒が循環だ」という意味ではない。公開情報から判断できないという意味になる。

書かれていないのは、現地に掲示があるからだと思う

温泉を使う施設は、温泉法にもとづいて成分や利用上の注意を施設内に掲示することになっている。加水や加温、循環ろ過を使っているかどうかも、その表示に含まれる。

つまり、着けば必ず読める。浴室の入口や脱衣所の壁に、たいてい貼ってある。

紹介文に書かれないのは、隠しているというより、書く場所が別にあるからだろう。サイトで説明する必要のないことが、現地では義務として掲示されている。

逆に言えば、予約の段階で知りたければ聞くしかない。そして聞けば教えてくれる。掲示している内容なので、答えられない性質の質問ではない。

書いている3軒は、はっきり書いている

加水・加温・循環に触れている3軒を読むと、書き方がきれいに分かれる。

栃木の源泉かけ流し温泉グランピング 赤沢温泉は、こう書く。

無加水・無循環の源泉かけ流しの湯

大分の由布院温泉グランピング 風の響きも同じ方向で、加温・循環をしない自家源泉かけ流しだとしたうえで、単純温泉(アルカリ性)だと泉質まで出している。

面白いのは3軒目だ。静岡のTHE BASE GLAMPING ATAMI PREMIERは、こう書いている。

源泉温度が60度台と高いため、季節や天候によって一部加水されます

加水を書くのは、普通に考えれば不利に見える。けれど60度の湯にはそのまま入れない。加水は品質の低下ではなく、入れるようにするための調整だ。理由と一緒に書けば、それは正直さのほうになる。

「かけ流し」より先に効くこと

源泉かけ流しは分かりやすい価値だが、貸切の宿を選ぶときに先に効くのは別の点だと思う。

湯が部屋にあるか、共用の浴場か。

設備は施設ではなく部屋に付くで数えたとおり、グランピングでは同じ施設のなかでも棟によって設備が変わる。温泉についても、客室に付くタイプと、敷地の浴場を使うタイプがある。250軒のうち客室温泉のタグが付くのは114軒で、共用の温泉は41軒。夜中に何度でも入りたいなら、この違いのほうが泉質より効く。

そのうえでかけ流しにこだわるなら、質問は一つで足りる。源泉かけ流しですか、と。

泉質を覚えて帰る

ここからは実務ではなく、楽しみの話になる。

着いたら、湯に入る前に掲示を読んでみるといい。源泉名と、泉質と、湧出温度と、加水加温の有無が並んでいる。ナトリウム・塩化物泉とか、単純温泉(アルカリ性)とか、読んでも半分は分からない。

それでも、入っている湯が何なのかを知っているのと知らないのとでは、湯船での時間が少し変わる。長野のVilla Metsä KARUIZAWAでも鹿児島のプライベートヴィラ鹿児島 Genkouの森でも、湯に浸かりながら読むものがあるというだけで、滞在に一つ手順が増える。

サイトで分からないことが全部、不親切なわけではない。着いてから分かることとして、そこに置いてあるだけのこともある。

よくある質問

「温泉付き」と書いてあれば源泉かけ流しですか?
とは限りません。温泉のある宿は掲載654軒のうち250軒ですが、かけ流しに触れているのは34軒(14%)で、「源泉かけ流し」と明記しているのは26軒(10%)です。触れていない216軒が循環だという意味ではなく、公開情報からは判断できないという意味になります。
泉質はどこで分かりますか?
多くの場合、現地で分かります。掲載情報で泉質に触れているのは250軒中48軒(19%)、源泉名を書いている宿は0軒でした。温泉を使う施設は温泉法にもとづいて成分や利用上の注意を施設内に掲示することになっているので、着いたら浴室の前で読めます。
加水や加温、循環の有無は分かりますか?
掲載情報からはほとんど分かりません。加水・加温・循環のいずれかに触れている宿は250軒中3軒だけでした。これも現地の掲示に含まれる項目なので、着けば確認できます。事前に知りたい場合は問い合わせが確実です。
加水や循環があると質が落ちますか?
一概には言えません。源泉温度が高すぎる場合は加水しないと入れませんし、湧出量が少なければ循環は衛生上の選択になります。熱海のTHE BASE GLAMPING ATAMI PREMIERは源泉温度が60度台と高いため季節や天候で一部加水すると書いていて、これは質の低下ではなく必要な調整です。
予約前に確かめたほうがよいことは?
湯が部屋にあるか、共用の浴場かという点です。泉質より先に効きます。そのうえで源泉かけ流しにこだわるなら、その一点だけ問い合わせれば足ります。

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