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北海道にプールは0軒、沖縄に温泉は0軒|設備を決めているのは土地だ

· 泊まり火編集部

北海道に掲載しているのは16軒。そのうちプールのある宿は0軒だ。

沖縄に掲載しているのは50軒。そのうち温泉のある宿は0軒だ。

この2つは、同じことを別の側から言っている。

夜の日本列島を宇宙から見た灯り
Photo: NASA / Public domain (Wikimedia Commons)

北から南へ並べる

掲載654軒を地方ごとに分け、主な設備の割合を出すとこうなる。北から南の順に並べた。

地方 軒数 プール 温泉 露天風呂 暖炉 サウナ
北海道 16軒 0% 12% 0% 44% 50%
東北 28軒 14% 43% 32% 18% 68%
関東 130軒 32% 31% 23% 16% 68%
中部 143軒 20% 31% 28% 22% 59%
近畿 146軒 46% 45% 24% 10% 58%
中国 44軒 25% 7% 20% 11% 64%
四国 24軒 17% 17% 29% 12% 46%
九州 77軒 22% 31% 19% 14% 64%
沖縄 50軒 84% 0% 2% 2% 54%
全国 654軒 33% 30% 22% 15% 61%

いちばん上と、いちばん下だけを抜き出す。北海道はプール0%で暖炉44%。沖縄はプール84%で暖炉2%。数字が入れ替わっている。

台所はヴィラに、大浴場はグランピングにでは、設備の違いを建物の形で説明した。ここではもう一本、別の線が引ける。

暖炉は、寒さの地図

暖炉と薪ストーブの設置率を県ごとに見ると、順位はそのまま寒さの順になる。

北海道が16軒中7軒で44%。長野県が31軒中10軒で32%、山梨県が41軒中11軒で27%、岐阜県が12軒中3軒で25%。全国平均は15%だ。

長野と山梨が上位に来るのは緯度のせいではなく、標高のせいだろう。白馬のFountainhead Hakubaは「8mの吹き抜けと天窓を持つオープンなリビングがあり、暖炉を据えているので白馬の厳冬期も暖かく過ごせます」と書く。軽井沢ハウスヴィラは全棟に薪ストーブが入っている。

いちばん下は沖縄で、50軒中1軒。ウミガメがかえる秘境グランピング アクナ浜だけだ。

暖炉は、無くても泊まれる設備ではない。寒い土地では要る。暖かい土地では要らない。それだけのことが、44%と2%の差になっている。

暖炉で燃える薪の炎
Photo: Timo Newton-Syms / CC BY-SA 2.0 (Wikimedia Commons)

プールは、暑さと水辺の地図

プールは逆を向く。沖縄県が50軒中42軒で84%。和歌山県67%、京都府58%、滋賀県55%、千葉県51%、兵庫県49%と続く。

最下位は北海道の0%、岐阜県の0%、長野県の3%。長野31軒でプールを持つのはVilla Metsä KARUIZAWAの1軒だけで、それも「プールとサウナ、露天風呂が楽しめるスパエリア」という屋内スパの一部だ。

ここでひとつ、奇妙なことに気づく。上位に並ぶのは、泳げる水がすでにある土地ばかりだ。沖縄は海、和歌山は海、京都府の14軒は天橋立と京丹後の海沿い、滋賀の12軒は琵琶湖のほとり、千葉は九十九里と房総の海。

海や湖のそばに、わざわざプールを作っている。

理由を断定する材料はない。ただ、海は季節と天候に左右されるし、小さな子どもを放っておけないし、人目もある。貸切のプールは、そのどれも気にしなくていい。海のそばにプールがあるのは、海の代わりではなく、海にできないことをするためなのだろう。

温泉だけは、地図にならない

同じように並べても、温泉は素直な形にならない。近畿45%、東北43%、関東31%、中部31%、九州31%、四国17%、北海道12%、中国7%、沖縄0%。北から南でもなければ、東西でもない。

温泉は、その土地に湯があるかどうかではなく、その宿が温泉地に建っているかどうかで決まるからだ。北海道は温泉の多い土地だが、掲載している16軒はニセコや洞爺湖のヴィラが中心で、温泉旅館の一棟貸しが少ない。だから12%になる。中国地方の7%も同じ読み方になる。

そして沖縄の0軒。温泉が湧かないというより、貸切ヴィラという業態が温泉と結びついていない。代わりに全室プールが標準になっている。同じ「水のある宿」でも、中身が完全に入れ替わっている。

海に続くように見えるプール
Photo: Martin Falbisoner / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

土地に逆らった3軒

地図から外れる宿は、外れているという理由で目を引く。

長野で唯一プールを持つVilla Metsä KARUIZAWA。沖縄で唯一暖炉を持つアクナ浜。そして沖縄で唯一露天風呂を持つYuki Suite Kourijimaは、「各室にはオーシャンビューのプライベートプール、または露天が付きます」と書く。プールか露天かを選べる構成で、古宇利島でそれをやっているのはここだけだ。

3軒とも、その土地では他にやっていないことをやっている。設備を土地が決めるなら、土地に逆らうことがそのまま個性になる。

サウナだけが、どの地図にも従わない

最後にサウナを見る。

北海道50%、東北68%、関東68%、中部59%、近畿58%、中国64%、四国46%、九州64%、沖縄54%。最小46%から最大68%のあいだに9地方すべてが収まり、幅は23ポイントしかない。プールの84ポイント、暖炉の42ポイントと比べると、ほとんど平らだ。

南北の傾きもない。寒い北海道が50%で、暑い沖縄が54%。ほぼ同じだ。

理由は考えれば単純で、サウナには土地が要らない。プールは気温が要る。温泉は湯が要る。暖炉は寒さという理由が要る。サウナは、電気か薪と、小屋がひとつあればいい。どこに建てても同じものになる。

台所はヴィラに、大浴場はグランピングにでは、サウナだけがヴィラとグランピングで同率(61.6%と59.7%)だったと書いた。建物の形にも従わず、土地にも従わない。この10年でサウナが全国に広がったのは、従うべき制約が何もなかったからでもある。

そのぶん、中身は宿ごとにばらばらになった。サウナは395軒、水風呂は102軒で数えたとおり、型式・ロウリュ・水風呂・外気浴の4点が全部書いてあるのは7軒しかない。制約がないということは、基準もないということだ。

この数字について

母数は掲載654軒(公開中、重複を除く)。設備の割合は掲載データの設備タグを数えたもので、公式情報に記載のない設備は数えていない。「沖縄に温泉が0軒」は、泊まり火が掲載している50軒の中に温泉タグの付いた宿がないという意味で、沖縄県に温泉旅館が無いという意味ではまったくない。

温泉は客室温泉・源泉かけ流し・共用温泉のいずれかを持つ宿を数え、露天風呂は別の列に分けた。露天風呂は温泉とは限らないためだ。

地方の区分は掲載データの都道府県による。北海道16軒、四国24軒、東北28軒は母数が小さく、1軒の増減で数ポイント動く。傾向として読み、断定はしないでほしい。

そして設備は増える。温泉を掘る宿もあれば、プールを温水にする宿もある。予約の前に公式サイトで確認を。

探すときは、土地から

条件から宿を探すと、土地は最後に決まる。プール付きでサウナがあって、と絞っていって、残ったところに行く。

けれど数字の側から見ると、順番は逆だった。土地が先に決まっていて、そこにありうる設備が決まっている。北海道でプール付きを探しても見つからないし、沖縄で温泉付きを探しても見つからない。条件を足すと、宿は何軒残るかで見た「条件はandで効く」の話に、もうひとつ条件が隠れている。行き先だ。

行きたい土地が決まっているなら、その土地にある設備から選んだほうが早い。行きたい設備が決まっているなら、それがある土地へ行くことになる。

サウナだけは、どちらから決めても構わない。

よくある質問

プール付きの宿はどこに多いですか?
沖縄県が突出しています。掲載50軒のうち42軒(84%)にプールがあり、全国平均の33%を大きく上回ります。次いで和歌山県67%、京都府58%、滋賀県55%、千葉県51%。逆に北海道は16軒中0軒、長野県は31軒中1軒だけでした。
沖縄に温泉のある貸切の宿はありますか?
泊まり火の掲載範囲にはありません。沖縄県の50軒のうち、温泉(客室温泉・源泉かけ流し・共用温泉のいずれか)を備える宿は0軒でした。露天風呂があるのも1軒だけです。掲載外に無いという意味ではありませんが、貸切ヴィラ・グランピングという枠の中では見つかりませんでした。
暖炉や薪ストーブのある宿はどこですか?
寒い土地に集まります。北海道が16軒中7軒(44%)で最も高く、長野県32%、山梨県27%、岐阜県25%と続きます。全国平均は15%で、沖縄県は50軒中1軒(2%)でした。
設備は宿が選んでいるのではないのですか?
選んではいますが、選べる範囲を土地が決めています。冬に水が冷たい場所ではプールを作っても使えず、湯の出ない土地には温泉を引けません。暖かい土地に暖炉は要りません。地方別に数えると、その制約がそのまま数字に出ます。
土地に左右されない設備はありますか?
サウナです。地方別の設置率は最小46%から最大68%のあいだに収まり、南北の傾きがほとんどありません。気温も地質も要らず、電気か薪と小屋があれば建てられるためだと考えられます。

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